「綾ちゃーん、ゲーム! 夕飯できたわよ! 下りてらっしゃい!」


耳に付く、甲高いソプラノ声が聞こえてきた。


「ワンワン、ワンワン!」


「ゲームはここで待ってなさい。御飯を取ってくるね。一緒にここで食べよう?」


ゲームは顔を上げ、純粋な眼差しを向けた。何も疑いを持たない視線。この子のように、人間の眼も曇らなきゃいいのに。


ドアを開け、階段を下りるとハンバーグの焼けた香りで充満していた。悔しいけど、りんは料理上手だ。胃袋が料理を恋しがり負けてしまう。


「あれ? お父さんは、まだ帰って来てないの?」