先生は黄ばんだ歯をニィと見せ、目一杯の笑顔を作り、その子の問いに答えた。


「これは幸運のシンボルなんだよぉ? 抜いたら不幸になちゃうんだぁ? 羨ましいだろ?

特にこれがあると印象深く、一発で顔を覚えてくれるだろうぉ?

例えば好きな人に、一瞬で顔を覚えて貰えるなんて素敵じゃないかい?」


「へぇーそうなんだー。そんな風に覚えられて、上手くいくの? 変に思われないの?」


「き、君は何を言ってるのかね? 何で変に思われることがあるんですかぁ?

ラッキーなシンボルに対して、誰もそんなことを思う訳がない! 君はもうちょっとお勉強をしたほうがいいねぇ!?」