再生ゲーム

「りんさん、テーブル拭いておくね!

……がっかりしたでしょ? 今は詰まらない、ちっぽけな派遣会社の部長だもんね」


「私達はその会社で出会えたんだもの……感謝している。拓也さんは良い男よ」


りんの鼻歌が台所から、水音と共に聞こえてくる。耳障りな雑音だ。


「ホテルオーナーじゃなくって、がっくりしたんじゃないの?

今は鍛えて筋肉質だけど、昔はガリガリに痩せてしまった時があって、不健康そうだからと長男に社長の座を奪われちゃったんだよねー」


「そう、そんなことが遭ったのね。あの人は優しいから素直に譲ったのかもね。でも良かったわ……ホテルのオーナーになっていたら、きっと私なんて目に留めてくれなかったもの」


「そうですか? りんさん綺麗だし、周りの眼を引くじゃないですか? どうしてうちの父をって思うくらい不思議ですよ」


「あんなに優しい人っていないのよ? 貧乏でも付き合ってたわ?」


――本当か? 大人の二面性は良く知っている。白々しい。


「……綺麗なのは綾ちゃんよ。拓也さんに似ていて、とってもお人形さんのように可愛い。

色白で唇は花のような赤。とっても羨ましいわ? 私に無いものだから」