そのまま妃亮さんの家に
帰れることもなく私は
前のバイト先のキャバクラに
来ていた。



「すいません。まだ開店前…
 ゆりちゃん!!
 どうしたの?」

「…愛華ママ」



私は泣きながら愛華ママに
抱きついた。



愛華ママは無理に話を聞き出そうとせず
私が落ち着くまで優しく頭をなでながら
抱きしめてくれた。



「もう大丈夫?」

「はい」

「ゆりちゃんが良かったら
 話してもらえる?
 嫌だったら良いわよ!?
 ただ少しでも相談にのれるかな
 って思ったから…」



私はすべて愛華ママに話した。





「それは私がはっきりと言えること
 ではないと思うんだけど…
 やっぱり本人としっかり話した方が
 いいと思うわ」

「でも今は冷静に話を出来なそうって
 言うか…」

「そう…」

「そこでお願いがあるんですけど。
 少しの間ここでまた働かさせて
 もらえませんか?」

「それは全然いいけど…
 ちゃんと妃亮さんと話すのよ?」

「はい」




私はまたその店で働くことになった。





でも泊まる場所がない。



どうしよう。




奈々さんに相談してみよう。