部屋に入ったら1人の男の人がいた。
見た目は怖いけど、どこか優しそうで
私はその漆黒の瞳に吸い込まれそうに
なった。
「妃亮(ヒロ)さん、お待たせしました。」
「この子が新人の?」
「はい、さくら」
私は愛華ママに言われ
自己紹介を始めた。
「さくらです。よろしくお願いします」
「ぢゃあ私はこれで」
愛華ママはそれだけ言って
戻っていった。
「……あっ、
なにか飲みますか?」
「いいよ、気つかわなくて」
「でも仕事ですから」
「じゃあ1つ聞いていい?」
「はい?」
「君まだ18才越えてないよね?」
「!!!」
「やっぱり…」
「いやっこれはその…」
「大丈夫。言ったりしないから、
あっもしかして愛華も知ってる?」
「…はい」
「なんでここで働いているの?」
私は愛華ママに言ってなかったことも
全部話した。
今まで自分の心に秘めていたことを
打ち明けることが出来た。
「そんな事があったのか…」
気づいたら私は妃亮さんの
胸の中にいた。
そして泣いていた。
人前で泣くなんて考えられなかった私が
人の胸の中で泣いていた。
「もうここで働くのは止めろ」
「えっ?」
「ここで働くことになれてしまう前に」
「でもいい場所だと思うんです。
みんな癒やしを求めてきていて
なのに自分の相談だけでなく私の
相談にも乗ってくれて。」
「そうかもしれない。
でもその反面危険性はかなり
あるんだ。」
「そしたら私生活していけなくなる」
「俺んちに住めばいい」
「えっ?」
「俺んちに住め!
金は俺が全部負担してやる。」
「本当?」
「あぁ、お前は今まで辛い思いを
たくさんしてきた。
だからもうこれ以上辛い思いを
してほしくない。
わかったな?」
「…ぅん」
初めて会ったというのに
そんな気がしなかった。
この人なら、
妃亮さんなら、
私を守ってくれる、
そう思ってしまった。
