「おいっ!沖田!
なに、ボーッとしてるんだ!
さっさと、泳げ!!
ずっと、ボケッとしていやがるんなら、
今日はもう帰ればいいぞ!」




………はぁ…
めんどくさい。
このコーチ…嫌い…





水泳のコーチの声…
一気に現実に引き戻された感じ。






かなたは、、、っと思うと、
ほら。またいない。





「はいはい。
ちゃんとすればいいんでしょ?
私の本気、見せてあげますよ。
だから、タイム計っといてくださいね♪」






………………………え?









今の私じゃないよ。
でも、私だよね?






あ、かなた発見。



ん?何々?
のんの…体…少し、借りる?






え…えぇっ?!







「ハハハ!沖田、
随分と生意気だな!
よし!計ってやろう。」




――ヨーイ…ピィー――




笛の音と同時にスタート…





な、何これ!
めっちゃ速いじゃんっ!




これが、かなたのスピード?
スタート…ターン…
全てにおいて無駄がない。
息継ぎも最小限におさえられていて…





覚えなきゃ。
せっかく、かなたが教えてくれてるんだ。
この感覚を、叩き込まなきゃ…





「は、速い…」





コーチのそんな
気圧されたような言葉と共に
大きな歓声が沸き上がる。






かなた…スゴいよ。
私、やっぱりかなたみたいになりたい。






なりたいじゃなくて。
なってみせるから。