「はぁ…」
俺、翼未羽は今日から病院に入院する。
メニエール病っていう、音が聞こえなくなる病気にかかってしまって…
原因がストレスなんて…俺って弱いな。
「505号室か」
真っ白な部屋、真っ白な壁。病室には俺一人だけ。
…淋しくなんてない。そうだ、隣室の人に挨拶しにいこう。

コンコン
「失礼しまーす…」
返事を聞いてないけど、勝手に入ってしまった。いいのかな…怒られたりしないかな…!?
そう思いながら、病室の主を探すと…
「あ、」
ベッドに横になって、こちらを見て微笑んでいた。
か、かわいい…。長い茶髪はふわふわして瞳は大きくて、綺麗だった
「り、隣室の、翼未羽です…宜しくお願いします…っ!」
ぺこりと腰を90度曲げてお辞儀をした。
顔をあげてみると、少女はまた微笑んでいた。
…どうして喋らないんだろう?そんな疑問が俺の頭の中を過る
「あ、えっと、俺…メニエール病って病気で、音とか声が聞こえなくて…」
あれ、なんで俺は自分の病気をペラペラと公開しているんだろう?
は、はずかし…!!

「し、失礼しましたっ!!」
…っ…こんなに恥ずかしかったのはいつぶりだろう?
そんな気持ちに負けて、マッハの早さで病室から出た。
…あ、名前聞くの忘れた。まぁ、メニエール病だから聞こえないけど…