新しくて綺麗な制服。
これから三年間着用するそれを、鏡の前に立って自分に合わせてみる。
「今日からよろしくね、制服さん」
なんて、初対面の人にする挨拶みたいに言う自分は、やはりまだまだ中学上がりの子供なのだと実感する。
「友達100人、できるかなぁ…?」
「はっ、そんなん楽勝だろ」
独り言のつもりだった一言が無意識に口に出してしまっていたことはさておき、
「でも私人見知りだから…って捺くん!」
「お前…準備おせーんだよ」
「ちょ、捺くん!私今着替え中なんだけど!?」
「知らん。早く下りてこないお前が悪いんだろ?」
お前お前って…妹のことくらい名前で呼んでくれてもいいじゃない。
「もー、びっくりした……ノックくらいしてよね」
はいはーい、と流す目の前の軽い男は私の兄、捺樹。
同じ学校の制服を身にまとった彼は、悔しくもしっかり着こなせている。
