――でも私は、とっさに錐生を拒んだ。
「い…や……怖…い」
その時の錐生の瞳は、まるで、獲物を捕らえた獣……
血に飢えた吸血鬼のようだったから…。
「あ…ごめ……。」
怯えた瞳をした私を、錐生は優しく包み込む。
『もう怖くないから』
私の身体にひしひしと伝わってくるようだった。
「俺……もう行くわ。…あいつには、あんまり触られないでね。」
俺がこんなに我慢してんのに…とそう小さく呟いて、錐生は理事長室から、姿を消してしまった。
―たった一人、残された私は、ぺたんと床に座り込んだ。急に力が抜けて、私は動けなくなってしまった。
有りのままの出来事を思い浮かべる。
俊也が帰って来て…
私に抱き着いて…
錐生がそれを見て…怒った?
……独占欲?
それって…嫉妬っていう意味?
錐生が…俊也に、嫉妬?
我慢の限界って……
錐生は、私に触れる事、我慢してるの?
恋人同士でも…
触れられないの……?
想いが…
通じ合ってないから?
解らないよ…
私の事、好きなのか…
そうじゃないのか…
矛盾してるよ。
想わせぶりな態度、取らないで。
余計にややこしくなる。
…はっきり言ってよ……。
『先ずは、錐生君とちゃんと向き合うべきだよ』
結衣に言われた言葉を思い出す。
そうだよ。
ちゃんと向き合わなくちゃ…
錐生の気持ちを確かめたい。
そして……
自分の気持ちを
ちゃんと形にしなくちゃ…。
私は、誰も居ない理事長室を飛び出して、錐生の元へ向かった―。
「い…や……怖…い」
その時の錐生の瞳は、まるで、獲物を捕らえた獣……
血に飢えた吸血鬼のようだったから…。
「あ…ごめ……。」
怯えた瞳をした私を、錐生は優しく包み込む。
『もう怖くないから』
私の身体にひしひしと伝わってくるようだった。
「俺……もう行くわ。…あいつには、あんまり触られないでね。」
俺がこんなに我慢してんのに…とそう小さく呟いて、錐生は理事長室から、姿を消してしまった。
―たった一人、残された私は、ぺたんと床に座り込んだ。急に力が抜けて、私は動けなくなってしまった。
有りのままの出来事を思い浮かべる。
俊也が帰って来て…
私に抱き着いて…
錐生がそれを見て…怒った?
……独占欲?
それって…嫉妬っていう意味?
錐生が…俊也に、嫉妬?
我慢の限界って……
錐生は、私に触れる事、我慢してるの?
恋人同士でも…
触れられないの……?
想いが…
通じ合ってないから?
解らないよ…
私の事、好きなのか…
そうじゃないのか…
矛盾してるよ。
想わせぶりな態度、取らないで。
余計にややこしくなる。
…はっきり言ってよ……。
『先ずは、錐生君とちゃんと向き合うべきだよ』
結衣に言われた言葉を思い出す。
そうだよ。
ちゃんと向き合わなくちゃ…
錐生の気持ちを確かめたい。
そして……
自分の気持ちを
ちゃんと形にしなくちゃ…。
私は、誰も居ない理事長室を飛び出して、錐生の元へ向かった―。

