ここの空間に一人でいると、外とは切り離された特別な場所にいるような気分になる。
いつも使っているギターの弦を弾くと、Gの音が響いた。
それを抱え、コードを奏でる。
『開け花唄 諦めないで
奏で続けて 僕らはまだ歌える
風に運ばれ広がる唄は此の花のように
強く確かに世界を変える
咲き誇れ“華” 思う想いを
抱き起こせば世界は変わる
この“Riry”のように』
「え?」
手が止まる。
背後に気配がした。誰も来るはずはないのに。
一段上がっている非常階段の入り口に腰かけ、そっと見てたひと。
「…アキ。」

