「ははっ、」

楽しそうに恭也が笑う。
つられてか、あたしまで嬉しくなる。


「あんまり絡むなよ、あいつに。」

……?
いつもより寂しげな声。
でも、優しい。
恭也の方を見るけど、眩らんじゃって表情は見えなくて。

チューニングが終わって、ジャンッ、と一気に掻き鳴らされる。
「ほんっと脳ミソ、豆腐だな。」

「はあっ!?」

「ばーか。」


いつもの強気な口調に戻った恭也は、何事もなかったようにギターを弾き始める。

なんかしっくりこないけど、音色が心地いいから、とりあえず考えないことにした。

恭也が歌い始めて、綺麗な歌声だな…なんて考えてたけど、
包み込むような声と日の温かさで
段々と意識が薄れていくのを感じてた。