「なぁ、」
咄嗟すぎて、「ん?」と返した声は変に裏返ってしまった。
「なーに?」
自分から話しかけた癖に、中々話を切りだしてくれなくて。
それでも恭也は歩き続けるから、あたしもついていくしかなくて。
「あのさ、」
「うん。」
何秒かの沈黙のあと、クスリと軽く笑って また恭也から目を逸らした。
「ちょっと!はぐらかさないの!」
即座に腕を引いて、もう一度こちらを向かせた。
足をお互いに止めた。
もどかしい。
早く話して。
恭也がうっすらと唇を開くまで、きっと2、3秒。
でも、余りにもスローに感じた。
力強い瞳が、向けられる。
その瞬間
呼吸を忘れた。

