“ムキになる”。
そう。今の二人にはその言葉がぴったり。
「ねぇ、二人ともなんかあった?」
「なんかって、なにが?」
「こんな勝負のしかた、珍しいじゃん」
明らかに、答えたくなさそう。
言った瞬間に思った。
気まずそうな顔をして視線を明らかにあたしじゃない方へ向けて。
どこかを見たままあたしの方を見ようともしない。
あげく、恭也の口から出たのは、「別に。」の3文字。
「わかった!喧嘩しちゃったんだ。」
「は?」
やっとまたあたしの方をみた。
「小学生のころも、そういえばそんなことあったもんね。
ほら、ニーチェのとき。」
ニーチェは、恭也のお兄ちゃんの夕希(ユウキ)さんのネコ。
「覚えてる?あたしが捨てられてたニーチェを見つけて、気に入っちゃったけどウチには犬がいたから。」
「おまえが手当たり次第飼い主を探したせいで、俺も涼介も飼う気になって。」

