~5月~
ガラッ。
だるそうなスリッパの音とともに、
少し背の低い先生がはいってきたんだ。
私は先生なんてぜんぜん興味がなくて、
机につっぷしていた。
『はい、号令。』
少し癖のあるひくい声。
号令のためにしかたなくたちあがって、
顔をあげた。
ちょっと見ただけで、かっこいいっ、っておもった。
切れ長のライオンみたいな瞳に
形のいい高い鼻。薄くて硬く結ばれたくちびる。
背はすこしひくいけど、タイプ過ぎて一瞬言葉をうしなってしまった。
日にやけてて、ほそいけど筋肉質で。
一瞬で恋に落ちてしまった
あたしをよそに、
先生はかるすぎる自己紹介をはじめた。
カツ、カツ、
体の割におおきくてごつごつしてる手。
なんだかチョークがちいさく見える。
でっかく黒板にかいた字。

