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ザァザァと雨の音が耳につく
水滴がシャツに、髪に、靴の中の靴下にまで張りついてきもち悪い
周りからはさしている傘のすき間から、奇異の視線が体をつついてる
家に帰る態としては最悪だ
それでも僕はこの雨に感謝した
赤く火照った顔と混乱している頭を冷やすには物理的な冷却が一番だ
事もあろうか、
この雨で風邪をひかないか、
というズルい心まで働いている始末である
―だって気まずすぎる……
どうすればいいんだ、これ……―
口から出た言葉は
誰に聞かれることもなく、
また心のなかで収まっていた……

