傘を
その場に開いたまま投げおくと、
彼女は僕の方を見もしないで
下駄箱で靴を脱ぎ、裸足のまま
廊下の奥へと消えていった





・・・・・・。

―いきなりなんだ……?―





廊下の奥を呆然と見つめる
どこからか、
パタパタ というには些か
大きすぎる足音が聞こえてきた




廊下から視線をはずし
目のやり場がなく、
なんとなく傘をみた



遠くから見た時は
分からなかったが、今見ると
傘の色は水色ではなかった


もっと緑に近く、なんというか
ともかくキレイな色だった




―……何だっけ、よく海なんかに
例えられる色で…………―





名前が思い出せない。