祐輝はうちのクラスで唯一あたしと中学が同じ。


だから普段から結構話す。



かっこよくて、スポーツ万能で、ノリがいいからかなりモテる。
まあ中学から一緒の私にはなんとなく子供っぽく見えて恋愛対象として見たことはないんだけど。



実は麻由佳も祐輝のことが好きな一人。




「美沙ってモテるんだな。なんか意外。」


「意外で悪かったですねー。」



「ごめんごめん。美沙ってあんまり男とか興味無さそうだし、彼氏とか作ったこと無かったみたいだから、女子とばっかしゃべってるのかと思ってた。」

そんなふうに思われてたんだ。まあ、あんまり興味はないけど。


「一応しゃべるよ。てゆーか今しゃべってるじゃん。」


「俺ぐらいだと思ってたんだけどなぁ。」


「んー…まあ、祐輝とはよく話す方かな。」


「てゆうか可愛いのに、彼氏作らないとか珍しいよな…。」


「え?今何か言った⁇」



最初の方、小声で聞き取れなかった…。



「あ、いや、何でもない。」



そう言うと祐輝は、じゃあ、と軽く右手を挙げて屋上をおりていった。



いつも無邪気な祐輝の笑顔が、ちょっとだけ……いつもより大人びて見えたのはきっと気のせいだよね……。