これだから甘党男子は・・・・・。


「これ?」

そう言ってシリルが首をかしげる。

クロエは返事も待たずに、パッと目にも止まらぬ速さで、シリルのチョコをとっていった。

気づいた時には、もうクロエの口の中。



「わーっ!!返してーーー!!!」

「やだぁ!もう食べちゃったもんね!おいしい~・・・」

「ひどいクロエーっ!これ最後やつだったんだよ!」

「そんなん知らんもんねーーーっ!」



ぎゃあぎゃあ隣りで凄い事になってる。

私は体を起こすと、二人の頭を叩いた。


「う・る・さ・い!もう先生来るよ。
 シリル、早くしまって!クロエは早く食べちゃって!」


唇を尖らせいているシリルと、幸せそうな顔をしながら口を動かしているクロエ。

ほんとに対照的な2人だ。



シリルがカバンにチョコの包み紙をしまった瞬間、
先生用の扉が重々しく開く。


そこから黒く長いローブをまとった先生が姿を現した瞬間、

さっきの騒々しさはどこへ行ったやら、一瞬で話し声がピタリと止んだ。



冷たい沈黙が室内を支配する。