偽物笑顔

「おいッ……田……園田!」
「何?末次…」
「うぉ…ちょっとその隈どうしたんだよ……」
「……………」

ポロ

「ん?なんだよこれ……写真…?
寝てる…って可愛いッ!誰この子紹介して♪」
「無理だよ。1前交通事故に遭ってからずっと意識がないんだ。紹介しても付き合えないと思うけど?」

そう、あの事故からあの紅く真っ白な夏から一年が過ぎている。俺はあの事件を忘れようとしてるみたいにただ、ひたすら勉強をした。
高校に一位で受かれば神紀が目覚めるとまで願掛けをして。
結果は一位通過で合格。
だけど神紀は目覚めなかった。

「ふーん………でも目を覚ますかも知れないだろ?」
「どうだろうな…」

(俺のせいで………神紀は……)

今までもまだ鮮明にあの事件からのことは覚えている……いや、忘れられないだけかもしれない。

………………………………「おばさん………!織原は!?」
「ごめんね、晴くん……神紀の為に………大丈夫よ。奇跡的に命に別状はないみたい。」
「じゃあッ!」
「…………………」
「おばさん………?」
「でも頭を強く打ったせいで…………目を覚まさないかも知れないって……」
「だから晴くん、悪いしもう来なくても大丈夫よ……」
「でも俺のせいで…」
「晴くんのせいじゃないの!だからせめて晴くんだけは真っ更な状態で生活して欲しいのッ」
「でもっ!」

バタム

「おばさんッ!」

「あの子のせいで神紀はッ………」
「止めないか!母さん神紀が自ら飛び出したんだろう!」

ドア越しに聞こえた織原の両親の言葉。
その通りだ。俺が悪い。
ただひたすらに俺が悪い。深く胸に突き刺さるものを感じたが、自業自得。
全て俺が悪いんだ。

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめッ…………」

ただ俺は泣きながら誰に向かってかも解らずに謝り続けた。
事故の責任を自分が背負う覚悟をしながら。
………………………………
「じゃあ、目を覚ましたらお近づきになろーと♪良いよな?晴?」
「勝手にしてくれ、末次」

俺は近づく資格なんて持っていない。
ただ影で君が望むように
生き、死のうじゃないか。
神紀が望むように。
だから早く、早く目を覚ましてくれよ……