偽物笑顔

今は後悔している
あんなこと言わなきゃ
君はまだココに居たかもしれないのに…………



「ねぇ晴くん」
「なに?織原さん……」
「私達付き合わない?」

いきなりの発言だった。
勿論そんな素振りもなかった。
ただ俺は驚きながらも冷静に対処する。

「どうして?今のままで良いじゃん。僕達受験生だし」
「だからこそだよ!違う高校になっちゃうんだよ?」
「だから………何で付き合うになるのさ」

別に神紀のことは嫌いじゃない。
付き合いたいとも思っているが、それは合格してからしようと前々から決めていた。

(その方が神紀にも俺にも良いはずなんだ…)

「だって…離ればなれになちゃうし…」

(勉強し辛い…)

俺は問題集を閉じながら
心の内を話す。

「俺は今誰とも付き合う気ないし…ごめん。勉強に集中したいんだ。」
「そっか………そうだよね…ごめんね………」
「うん、だから…」

そう言いかけて上を向くと君の顔から涙が零れていた。
「なんで泣いて……」
「ッ!なんでもないよ……ごめ、ごめんね……!」

駆け出す君を追いかけて
行った先は――――
―紅く光る信号だった―

「神紀ッ!前ッ!」
「え?」

ドガッ

鈍い音と熱いコンクリートに広がる紅い赤い血。

「え……嘘だろ………ちょっ…なんで…俺のせいで………?
あ、あ゛ああ゛ああ゛あ゛あ゛あ
誰か、誰か救急車……救急車ッ!」

その時は頭の中が真っ白でただ、叫び助けを求める事しか出来なかった……。
そんなただ後悔と自分の無力さを痛感していた。