ピンポーンピンポーン
「なんだよ…こんな朝っぱらから…。」
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
「うるせぇっ!!!!誰だよ!?」
「あ。お目覚めー?新だよー開けてよー。」
「いほ…新か…。そんな簡単に開けねぇよ。まず用件は?」
「んー。暇だから遊びに来てやった!」
は…なぜ。頼んでもねぇよ。
「お引き取りくださいませー。只今忙しいのでー。」
「嘘だろ!?お前さっきさっき起きたろ!?」
「チッ…。んじゃあ着替えてくるから待ってろ。」
「まさか開けれないほどの服を…!?はっ!はだ―――」
「殺されたいのか?」
「すいません。嘘です。そんなわけないですね。口が滑りました。」
めんどくさ。休みだからぐっすり寝たかったのに。
…新と遊ぶとかわけわかんねぇ。はぁ。服テキトーでいいや。
ガチャ。
「おまたせ。」
「おぉー!優大人っぽ!」
「んー。で、なにすんの?」
「とりあえず中入れて…。」
「お、おう。」
今日は新も私服なんだなー。なんかしっくりする。
「へぇ~可愛げのない部屋だなぁ~。」
「うっせぇな。別にいいだろ。」
「ふむふむー。おわっ!?」
「なっ!?」
ドサッ。
「いってて…。っ!?」
顔近っ…!!
机に足ひっかけてそのままソファにブッ倒れたか。お、押し倒されてるし。
「ちょっ、どけよ!」
「足痛くて無理!」
「体くらい起こせよ!」
「んー…無理。」
え。まさかこのまんま!?
「どけよ!!」
体押しても全然動かないっ…。
「嫌だ。暴れたらキスするよ?」
「は、はぁ!?」
なんでこうなるんだよっ。こんなんなら家に入れなきゃ良かった…。
「ってかキスしても、いい?」
てゆーかさキスキス何言ってんだよ。彼女いるくせに。女なんていっぱいいるんだろ。なんで俺なんだよ。キスだってお前からしたらどうってことないんだろ。そういうところがうざい。嫌い。これも、遊びでしか、ないんでしょ…。
「ぁ…。ごめん。」
気づいたら涙がたくさん溢れてた。なんで。なんでコイツのことなんかで。
「違う。泣いて、るわけじゃっ…。」
「ごめんね。しないから…。」
「お前には、こんなの…どうってことないんだろ…?彼女だって、いるくせにっ…。」
口を開くだびに涙は溢れ出て。止まんなくて。
「な、彼女もいないし、どうってことないなんて―――」
「嘘だろ!いつもお前の周りには、可愛い女の子ばっかで…っ。」
チュッとくちびるに柔らかいものが…。
「なっ…。」
「嘘じゃないよ。優を中二の夏見つけて一目惚れした。んでそれ以来誰とも付き合ってない。なにもしなかった。優に振り向いてもらいたくて。キスだって優の前じゃ、その、少しだけ恥ずかしくなるしっ。」
う…そ…。そんな風に考えてくれてたなんて、知らなかった…。
「だから好きだから触れたくてキスもしたくてしかたなかった。好きだよ。優。」
「そう、なの?」
「うん。でも優はまだ俺のことよく知らないだろうし、無理に付き合えとは言わない。でも、絶対俺のこと好きにならせるから。」
なにそれ…恥ずかしいこと言うなよ…。顔またあついしっ!
「あ、あっそ…。」
「覚悟してろよ?優。」
カァァアアと頬がさらに赤くなっていくのが自分でも分かった。
「ねぇ、優。ごめん、もう一回だけキスさせて。」
「はぁ!?そ、そうだお前さっきキスしないって言ったのにしやがって!」
「ごめんー。ついつい優の泣き顔みたら…。」
「バカ!!」
「ごめんってー。」
そのあと色々言い合って俺は新に負けてもう一回…っぁああ!恥ずかしい!!
キスされても嫌じゃなかったけど…俺は新のこと好きなのかな…?
今は新の本音も知れたし、そこまで嫌いじゃなくなった…し。好きかどうかまではわかんないけど。