「失礼します。」
自習室に入ると既に満員の様子だった。
今日はダメか…
と諦めかけてたその時、こっちに向かって手を振ってる人がいた。
先生でも呼んでるのかな?
結局諦めて自習室を出ていく。
自習室ダメなら図書館でも行こっかな。
このあとどうしようか考えてると、不意に手を引っ張られた。
「ん?」
振り返るとそこには見知らぬ男子生徒。
こんな人いたっけ?
「あのさ、自習室使わないの?」
急に言われてビックリした。
それから、結構冷静を装ってるけど肩で呼吸してるし。
あ、もしかして
「手振ってた人?」
「そうだよ。席探してるのかと思って、隣空いてたから合図したつもりだったんだけど…。」
あちゃー…。
あれは先生を呼んでた訳じゃ無かったのか。
わざわざ気を使ってくれたんだ。
「ごめんね。ありがとう。自習室戻ろっか。えーと……」
「オレは日向 新(ヒュウガ アラタ)。」
ヒュウガって聞かない名字だな。
「ヒュウガってどうゆう字?」
「日に向かうって書いて日向。」
「私、漢字一緒!だけどヒュウガじゃなくてヒナタなんだー。」
「そうなんだ。名前は?」
「葵!日向葵ってね、入れ替えると『向日葵』になるんだよ!」
同じ漢字の名字…。
なんだか運命の出合いみたい!


