ふつふつと湧き上がる疑問は限りなく多いけれど。
とにかくこの宴会が終わるまでは、気持ちを落ち着けることに専念しよう。
幸か不幸かお酒は強い。
とりあえず、飲んで気持ちを明るくしよう。
無理矢理そう思って、手元の料理に手を伸ばした。
いつの間にか取り皿に盛られていたから揚げを食べつつ、明るい声がした方へ視線を向ける。
盛り上がった声は、新入社員をからかう楽しげな声。
そこでは、新入社員達が部内のメンバーたちに挨拶して回っていた。
慣れない雰囲気に緊張しながらも、ビールを片手に各席を回るその顔はとても明るかった。
わが社の花形部署である住宅設計部に配属されることは誇りに思うことであり、将来この会社のエリート街道を歩むに一番近いポジションを得たという意味を持つ。
嬉しいに違いない。

