結局、そのまま楽しい宴会が始まり、歩の爆弾発言の真相を追及する間もなく時間は過ぎていく。
経理部の歩と、住宅設計部との繋がりがあるとも思えなかったけれど、意外や意外。
歩は社内全般に人脈を持っているらしく、住宅設計部の部課長たちとも親しげに話を続けていた。
『秋の新商品発表会に合わせて工場見学会を予定してるんですけど、目玉として相模を呼んでいいですよね。株主優待ってことで』
やら
『商品ごとの売り上げの変動が激しいんですけど、何か理由はあるんですかね』
とか。
宴会だというのに、仕事に関わる話をしているかと思えば
『かわいい神田さんの花嫁姿が見たいから、俺も結婚式には呼んでくれ。祝儀は弾むぞ』
『なんなら経理部の仏頂面の部長は無視して、俺が仲人を引き受けてやろうか?』
なんて会話まで耳に入ってきて、戸惑うどころかここは別世界なんじゃないだろうかと思わず周囲を見回してみたり。
時折、歩が私に向ける優しい視線によって、歩が結婚すると言い出したことは現実なのかなと思うけれど、それでも。
今のこの状態。
どう考えてもおかしい。
別れたはずの私と歩が結婚するなんて、どうして?

