「一花が経理部の中でかなり忙しく動いているのもわかっているし、一花の仕事が社内で必要であるというのも誰もが知っているから、落ち込むことはないんだ。
ただ、その押しかけ私設秘書の女性たちは、自分の仕事に手を抜くことなく相模の仕事のサポートも始めていて、それを通じて会社の奥深くを学んで成長していってる。という感じかな」

「知らなかった……」

ぽつりと呟いた私に、椎名主任は頷いて

「あまり公にはされてないというか、相模にしても、その女性たちが自分目当てでなくて建築や会社のことに目を向けるサポートができればっていう意識で面倒見てるから」

「え?面倒見てるって?おかしくないですか?」

「あー、やっぱり気づいたか。相模をサポートしようとしていた女性の面倒を相模が見ているなんて、おかしいよな。押しかけ私設秘書なんて言ってたわりに、最近では相模が彼女達に建築のレクチャーをしたりしてるから。おかしいよな……」

おかしいと言いながらも、決してそれを拒んでいるとか、やめさせようとか、そんな感情は見えなくて、どこか楽しげな口調だなと感じる。

もともと仕事に対する責任感や、自分が置かれている立場にはかなりの誇りも持っている人。