―リリリリ…
「んー…」
けたたましく鳴り響く金属音。
もぞもぞと布団の中から手を伸ばし、目覚し時計を止めた。
制服に着替え、身支度をすませて階段を降りた。
「おはよー柚ちゃん」
エプロン姿で朝食を作っている、お母さん
「おはよう、柚季」
新聞を読んでいた視線を上げた、お父さん
「…はよ」
焼いた食パンを頬張っている、弟
「おはよう」
家族と軽いあいさつを交わしてイスに座った。
いつも通りの朝
いつも通りの朝食
何の変哲もないけど、家を出る時間が近づくにつれて、
あたしを憂鬱にさせる。
ローファーを履き、小さくため息をこぼす。
「はぁ…」
玄関の扉をグッと押して、家を出た。