幼馴染みの彼の秘密ごと

それが海には“何かがあった”と判断したようで。もっと皺が濃くなってゆく。


あーあ……。こんなはずじゃなかったのに……。


バレてしまったのであたしは観念したように溜め息を吐く。海はあたしが観念したのがわかったのが顎を放してくれた。


ちょっと痛かったから放してくれてよかった。もしかしたらこのまま話すのかと思っていたから。



「あの、ね……」

「うん」

「昨日家にね、清香姉ちゃんの婚約者が来たの。その婚約者は“鷹司さん”っていうんだけど」

「………」



“鷹司さん”という単語でピクリと反応する。


海は鷹司さんの事、知っているのかな?


あたしはそんな海の事を気付かない振りをしてまた話し始める。



「その鷹司さんが怖いの」

「怖い……?」

「うん」

「どんな風に?」

「……わかんない。とにかく怖いの。不気味と云うか何と云うか」



よくわからない。


最後にそう付け足してあたしは歩き始める。


海はその後ろを付いて来た。