幼馴染みの彼の秘密ごと

もう鷹司さんの顔なんて見たくなかったあたしはその場に逃げるように走った。

と。



「っと。梨香?」

「う、み……?」



誰かにぶつかってしまったあたしは少しその人に体重を掛けるようにして倒れ込む。


あたしを知らないはずのその人は確かに“梨香”と言った。


と、云う事はその人はあたしの事を知っているのと云う事。それならもちろんあたしも知っているのはず。


そう思い、あたしが顔を見上げるとそこに立っていたのは制服姿の海だった。


海の制服姿、久々に見た……。やっぱりちゃんと着こなしてて格好いいや。流石、モデル。


海に暫く見とれていると海があたしの顔を覗き込んで来て、心配そうに見詰めてくる。


え?何?何かついてる?


そんなあたしの考えは海の言葉によって消える。



「気持ち悪い?顔、真っ青。何かあった?」

「え……」



海の言葉にさっきの出来事や昨日の事を思い出して、気持ちが悪くなってくる。


何でこんな時に海に逢うの。心配させたくないのに。