ニッコリと笑う千咲にあたしはこれ以上追求しない事にした。千咲もこれ以上は言うなという顔をしていた。


千咲は千咲なりに考えて行動しているのだろう。だからあたしは何も言わなかった。



「梨香お嬢様。髪の毛が乾きました」

「あっ。ありがとう」



ドライヤーで乾かしてくれた千咲に感謝してあたしは席を立つとカバンを持って外に出る。



「あら?梨香お嬢様。もう行かれるですか?」

「えぇ。そうよ」

「お早くないですか?」

「今日は早く行きたいの。車もいらない。歩いて登校するわ。気分転換に」

「作用で御座いますか。了解致しました」



口元に手を当ててニヤニヤしているのだからわかったのだろう。


あたしが何をし出かすのか。


海に会いに行く事を、千咲はわかっていたのだ。