「梨香、早く下りてこいっ!!」
「あっ、はぁ〜いっ!!今、下りるから待って!」
父の怒鳴り声で我に返ったあたしはすぐに一階へ向かった。
リビングの扉を開けると普段いない顔がそこにはあった。
「おっ!梨香じゃんっ」
「清香姉ちゃんっ!?帰って来てたんだ……。おかえりっ!!」
「ただいま〜♪」
「お邪魔しているよ、梨香ちゃん」
「あ、鷹司さん……。こんばんは」
清香姉ちゃんの隣に座る彼に一言挨拶するとあたしはすぐに椅子に座った。
広い広い机に座っているのはたったの四人。
「梨香お嬢様。今日は何になさいますか?」
「あっ、千咲……。なんでもいい。千咲のオススメにしようかな」
「畏まりました」
メイドの千咲[チサキ]にそう答えると少し微笑んで一礼した。
千咲はあたしと同い年くらい。
この年でよく住み込みで働いてくれるんだと関心する。
あたしの年は16歳。
千咲もだいたい同じだと思う。