「あんだけ叩き込んだのに反撃できるのかよぉ」

じっとしていられない性質なのか、その場でピョンピョン飛び跳ねるサカズキ。

その頭角を見ながら。

「装飾かと思っていたが…お前、真の鬼かよ」

羅刹が呟く。

「正確には酒呑童子だけどな」

ニカッと笑うサカズキ。

酒呑童子は丹波国の大江山、または京都と丹波国の国境の大枝(老の坂)に住んでいたとされる鬼の頭領である。

彼が本拠とした大江山では龍宮のような御殿に棲み、数多くの鬼達を部下にしていたという。

「ま、そっちは伝説さぁ。おいらにゃ関係ねぇよ」