両腕、両足。

マリアは四肢を壊されてマットに横たわる。

痛みは感じない。

故に幾らでも動ける。

折れた足で立ち上がろうとしてみるが。

「っあ…」

脚は不自然に曲がり、また転倒してしまう。

「痛みを感じずとも、その足ではまともに機能しない…どんなに不死でも、怪力を持っていても、まともに使えない手足では戦えない」

ようやく傷口からの血を拭い、十六夜は言った。

「三年前の私の仕事がそれだ。命を奪う事は勿論だが、『人間として機能できなくする』…私はそれを生業としてきた…」