「…っっっっ…」

不動は尚更気に入らなげに十六夜を睨む。

十六夜は一切相手にせず、どこ吹く風。

と。

「八つ当たりはみっともないぞ、『弟』」

十六夜と同様に腕組みしていた羅刹が言う。

「…『弟』なんて呼ぶんじゃねぇ、羅刹」

十六夜から視線を外し、不動は羅刹をギロリと睨む。

「俺に親兄弟はいねぇ…てめぇなんぞ兄貴に持った覚えはねぇよ」

「覚えは無くともお前は『弟』だ…随分出来が悪く育ってしまったがな」

「っっっっ…」

一触即発の空気を漂わせる羅刹と不動。

そんな二人の睨み合いをものともせず。

「好きにやってくれ」

十六夜は控え室を出て行く。

「私は試合があるのでな」