嘆くような、悲鳴のような声が観客席から上がる。

ベビーフェイスが、アイドル格闘家の明日葉がダウンを喫した。

これまで彼女のスピードについて行ける者など極僅かだったというのに。

それを捉え、遂にはマットに平伏せさせる者が現れた。

そんな大変な事態だというのに、分かっているのかいないのか、相も変わらずユラユラ揺れているレクス。

「う…くっ…」

歯を食い縛り、明日葉が体を起こす。

彼女とてスプリームツインの一人だ。

矜持とてある。

そう簡単に、寝たままでいる訳にはいかない。