頚動脈を圧迫し、血流を止め、脳に血液が流れないようにして、意識を混濁させる。

巨体ゆえに己よりも小さな不動を上手く捕まえられないのが仇となった。

シルヴァは瞬時にして意識を失い。

「…………う…」

次に気がついた時には、人間の姿でマットに横たわっていた。

完全KO。

試合が決し、不動は観客達からの大歓声を浴びていた。

「ま、負けたのですね…」

上体を起こし、俯くシルヴァ。

「ああ、てめぇの負けだ。文句なくな」

不動は同情の言葉すらかけない。

どこまでも不遜な態度。

そんな彼に。

「敗者は己の『大切なもの』を差し出すのでしたね…そ、それでは…」

シルヴァは懐から、美しく輝く銀色の鱗を取り出す。

「り、竜は敗北した際には勝者に仕え、その証に『銀竜の鱗』を一枚差し出す…受け取って下さい…」