オクタゴン上でおどけるように雨久の迷彩キャップを被り、観客達の声援を浴びる不動。

その背後で。

「きゃふふふふ…」

あの笑い声が聞こえる。

咄嗟に不動が振り向くも。

「……」

雨久の姿は、もうオクタゴン下にはなかった。

馬鹿な、あの傷でどこへ?

しばらくは集中治療室で絶対安静の重傷の筈だが…。

「……」

不可解な対戦相手、雨久。

勝利したものの、不動の表情からは知らずのうちに、不敵な笑みは消えていた…。