「気分がいい」

ドームの天辺。

羅刹は胡坐をかき、鬼の面を僅かにずらして瓢箪に入った鬼桃天酒を直接口飲みする。

久し振りにいい勝負をした。

どいつもこいつも、羅刹の戦った相手は戦術や策略に走る、武道家とも呼べぬ姑息な輩ばかりだったが、サカズキは真っ向勝負の実に小気味いい戦い方をした。

あいつは強くなる。

「気分がいい」

もう一度、誰にともなく呟く。