「なぁ、夢良・・・好きな人だれなん?」
誰だろう?不思議だね、誰かわからないんだって。自分が笑える。いや、笑えないか・・・。皆、思春期で、好きな人とかいるのにね。ほんっと!あたしって可笑しいなァ・・・。
「莉乃は?」
「え~?!やっぱさ、イケメンの“和夜(かずや)クン”っしょ?」
「和夜ァー?あんまよくないよ?」
「夢良は、関わったことないから、そんなこと言えるんだよぉ~!」
「莉乃だって!!関わったこと、あんまないでしょ?」
「あるも~ん!学級委員っ。」
そうか・・・。今学期の学級委員って・・・莉乃と、“和クン”だったんだっけ。ちなみに、和クンと、あたしは幼馴染。そんなことだれも聞いてねっつぅの、ねぇ・・・。つぅか、和クンって、こんなにモテてたっけね・・・。あたしにとっては、アリエナイ話。

―パチンッ

あたしは、誰かに叩かれた。もの凄く痛い・・・ってことはァ~・・・。
「ちょ!和クン!!!」
「ハズいだろ!学校では、“和クン”は、辞めろっ!“和夜”でいいっっっ」
「え???夢良って、和夜クンのこと、“和クン”って呼んでるの?」
「う・・・・。えーと、ちっ!違うよぉ~・・・。」
「本当ぅぅぅ?」
莉乃は、意地悪な顔をした。この顔・・・ウケるんだけど!でも、笑いたいのは、一生懸命に押さえ、「本当だよっ!」と言っといた。まぁ・・・嘘だけどね。和クンのためやし?

「夢良!」
「ん?」
「こっちに来い!」
「へー?」
あたしは、なにがなんだか分からなくて、おどおどしてたら、手を引っ張られた。
莉乃を見てみると、『ちょっとぉ~。』みたいな顔をしてて、怒っていた。後でなんて言われるか・・・・・・。

なぜか、体育館倉庫に連れられて、意味が分からず、ポカーンとしてたら、いきなり抱きつかれて。焦っちゃったんだ、あたし。誰かに見られてるんじゃないかと・・・思って。
「和クン?!」
「何っ?」
「離して!く、苦しい!」
和クンの力は、すごーく強く感じた。“男らしい”とも思えた。