息が続かないきっともう死ぬのだろう、かなわないことはわかっていた、でも、行動せずにはいられなかった。
母をころした、父をころした帝国を、心の底から恨んでいる。なぜ、なぜ殺した。もう戦争は終わっていたのに、やっと母さんに会えたのに、幸せに暮らせると思ったのに。
「っ…くそ…なん、でだ、な、で…な…」
幸せになることは許されないのか?幸せを奪っていった奴らを懲らしめてやりたい。それだけなのに。
『小僧、死が近いようだな』
突如聞こえた声。
『下賎な人間ごとき、一匹死ぬのは構わんが お主には死んでも死にきれぬような望みがあるのだろう?』
大きな影が少年を覆い尽くした。
『我はドラゴン、本当はもっと腕のあるやつと契約したいがそうは行かぬ』
ぴしゃん、と少年の顔に何かが落ちる、鉄のような匂いがする。ドラゴンにも血は流れるらしい。
『小僧、契約をすればもっと力を得ることができるぞ?』
「……」
契約をする、それは力を手に入れることのできる最高の手段だ。だが、それで良いのだろうか。自分の力だけで…。
『それができぬから今ここで死にぞこなっているのであろう?』
もっともだ、契約をすれば死ぬほどの傷を受けても死ぬことはない。
力を手に入れ、帝国を滅ぼすことができるのなら。
『小僧、もう一度聞く、契約か、死か?』
俺は手段を選ばない。

















契約だ。