御曹司の秘書さんのため息◆


どさっと志保をソファーに置いて
武は志保の足もとに跪き
ミュールを取り上げる。


クルリと室内を見回して
いくつか下げてあるドレスと
下にある箱を見て、

「うーん。
 これかな?」

少し低めのヒールのパンプスを差し出した。


上品な光沢が志保に似合う。


「あ・・ありがとうございます。」

「いえいえ。
 これも仕事だから、気にするな。」


珍しく、にっこりと武が微笑んだ。



「わっ。市川さん・・・笑った。」

「え?
 俺がーー笑ったら そんなにおかしいのか?」

「くすくす。
 えぇ。だって、いつも仏頂面で
 いつでもクールでしょう??

 楽しそうに笑いはするけど
 
 そんな優しい笑顔はなかなか見せないもの。」


そうか??

武はまた
不機嫌そうに顔をゆがめた。

そんなつもりはないんだがな。