御曹司の秘書さんのため息◆


エレベーターの扉がぱたりと閉まると同時に
彼ーーー武は
あっさり『秘書』の仮面を脱ぎ捨てる。

「ーーーっつぅか、
 なんで、そんなミュール履いてるんだよ。志保さんは?」

「・・・ばれてましたか。」

じんわりと小指とかかとあたりに
擦り切れて赤くはれてきている。


「どーせ、あのバカ上司の好みだろ?
 こんな長時間立つようなパーティだったら、
 もう少しヒールの低いだな・・・」

「はいはい。くすくす。」

面倒見のいい兄のような武に思わず志保は笑う。

まったく・・
と言いながら武は、
扉が開くと同時に、ひょいと
志保を抱っこする。

「きゃっ。あのっ。」

「あぁ、そんな足で歩かれたら困る。
 ロビーと違って誰も見てないだろ。
 気にするな。」

「気にするなと言われましてもっ。」

「あぁ、鍛えてるから大丈夫。落とさないよ?」

そうゆう問題じゃ・・

なんて言う志保を無視して、
昴がとっている部屋へと向かう。