○ワゴンの中、夜
   6人がいる。
   突風でワゴンが揺れる。
山本「間違いない。連中は必ず来る」
高田「見て、花吹雪!」
木村「風が出てきたわ。わあ、すごい!」
   暗闇の中をものすごい桜吹雪。
   川面は一面重層な花いかだ。
   ぽつぽつと大粒の雨が降り出す。
原田「雨が降り出した」
山本「もう、連中はそこまで来ている」
   風が強まり時折突風で車が揺れる。

○川土手、夜
   ゆっくりと大型トレーラーが行く。
   忍者がその側面にへばりついている。
   雨が降り出す。

○渡月橋東詰め、夜
   トレーラーが着くと同時に忍者たち飛び降りて、
   二人一組で舟を運ぶ。もう一台のトレーラーが
   川土手に現れる。クレーン車が続いている。

   大勢の忍者達が雨の中、橋と川面に別れて作業を
   始めている。雨の音が激しく彼らの音は聞こえない。

   橋げたにはしごが括り付けられ、それに川舟が差し
   込まれ固定される。数十隻の川舟の橋ができる。

○渡月橋西詰め、夜
   橋が分解され小分けにされてクレーンで引っ張り
   忍者達が担いでトレーラーに積み上げていく。
   忍者達雨の中、リズミカルに何か叫んでいる。

○橋の下、夜
   への一番とへの二番の大きなちょうつがいが、
   大きなバールとハンマーで打ちはずされ、
   最後の橋げた部分が担ぎ出される。

○渡月橋東詰め、夜
   土砂降りである。
   ゆっくりと橋を積んだトレーラーが動き出す。
   クレーン車と忍者達あっという間にいなくなる。

○ワゴンの中、夜
   6人の驚きの顔。
高田「見た?」
木村「見た」

原田「これはすごい、芸術だ」
山本「戦国時代、木槌一振りで橋が一瞬にして
 崩壊すると言う話を聞いたことがある」

原田「歩いて渡れ舟の渡月橋とは?」
山本「あの舟の渡り橋のことだ。これも戦国時代によく使われた」
   皆、納得して大きくうなづく。