幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜







数年前から、試衛館の経営は大きく傾いていた。






門弟が減ったことにより、資金不足になったのだ。







さらには無駄に出費を重ねる居候組がいるために、お金不足は深刻だった。






あの知略家の山南さんの頭を最後まで悩ませていた問題だ。






その時、譲に選択肢などなかった。これといって深く考えるでもなく、突発的に独断で動いた。







買出しに行くふりをしてこっそりと試衛館を抜け出し、由緒ある江戸の遊郭、吉原に向かった。






当時、十四歳だった譲は何も知らなかった。





吉原が、遊郭という場所がどれほど恐ろしい場所かということを。