幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜



慰めの言葉に、譲は掌をぐっと目に押し付けたが、目頭が熱くなるのを止めることはできなかった。



指の間からぼろぼろと大粒の涙が零れる。



心がもう折れてしまいそうだった。心をえぐられたような苦しみ。それは、肉体的なものよりもずっと苦しいものだったのだ。



そして、今までずっと心の底で思っていたことが言葉になる。




「私が……男だったら……‼︎」





女であることに、この世の無常さに絶望したあの日。



誰もが認める圧倒的な完封勝利だった。



なのにー。



道場の男の言葉が重く響く。




『女なんざに大将を任せるとは、ずいぶん落ちぶれた道場だ』



そう罵られ、出稽古代を半分まで減額された。



自分のせいで試衛館の評判を下げ、お金も減らされて、ただでさえ苦しかった試衛館の経営を自分が圧迫した。




自分がみんなを苦しめたー。そう何度も戒めて、男装を決意した。もうみんなの邪魔をしない。みんなの役に立ち、みんなを守るために生きる。









しかし、近藤さんは帰れといった。自分がそれほどまでに役立たずな『女』だったから。





「女になんて……女なんかに生まれてくるんじゃなかった……‼︎」




力も弱いし身分も低いと、譲が苦しげに嗚咽を漏らしていると、お梅さんは「それは違う」と声をかけた。お梅さんは、凛とした声で続ける。






「譲さん、女であることを蔑む必要はありません。もっと女であることに誇りをもって。女にしかできないことだってあるはずよ」




「女にしかできないこと……?」