幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜














少女を追って八木邸に戻ると、草履が砂利を踏む音に気付いたのか、少女がこちらを振り向いた。









その目は酷く悲しげで、今にも涙が零れそうなほど儚かった。









「あなたは……ゆずは……いいえ、譲姐さんの仲間ですか?」








少女の問いに総司は警戒しながらも頷く。










すると少女は堰を切ったように涙を流し、総司にすがった。










「お願いです……!!姐さんを助けてください!姐さんが……姐さんが………!!」











「譲がどうかしたの?」








うまく息を吸えてないのか、けほけほと咽ながら、少女は必死に訴えかけてくる。








「姐さんが……浪士組の隊士に、刀を向けられているんです!」







「………っ!?」








あの譲がどうしてと思う暇もなく、総司ははっとした。











「君は……?」







「私……姐さんの傍付の花緒っていいます。お願いします。姐さんを助けてください!」




(傍付ってことは……、譲は遊郭に?
また働いてるということ……?)




なぜという疑問が交錯するが、この切羽詰まった状況で、じっくり詮議する時間はない。





これだけ近しい者がここまで来たのだ。これはただ事ではないし、この娘が嘘をついているとも思えない。








ふいにそんな感覚に襲われた総司は、辺りの気配を窺う。





幸い、みな寝ているか、少なくともここには誰も来ていないようだ。









他の者に見つかる前にと、総司は泣き崩れる少女に問いかける。











「分かった。場所はどこ?案内して」








カチャッと、総司は乱れていた刀を差しなおした。