幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜














浪士組の悪名をこんな私利私欲のために使う佐伯に怒りを覚えながらも、この場ではどうすることもできず、譲がぐっと耐え忍んだ。








本当はこんなやつに聴かせる胡弓などないとは思いながらも、今は相手は客だ。逆らうことはできない。













一つしかない行燈の明かりが、妙に怪しく部屋を薄く照らす。









薄暗くて、嫌な気配がする中、譲が胡弓を取り出すと、その胡弓を見た佐伯の目が鋭く細められた。





杯に口をつけながら、譲を観察するようにじろじろと見る。







「その胡弓………どこかで見たことあるなぁ……」







ぎくっとしながらも、平常心を保つ譲。





「そんなわけはありまへん。これは高価な胡弓どす。そう簡単には手にはいりまへん」







だが、佐伯の視線が逸れることはない。







それを気にせず、譲は無心で胡弓をかき鳴らした。