幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜









島原に着くと、待ってましたとばかりに早速花緒がお出迎えに来た。






この上にない至極の満面の笑みで顔を綻ばせながら、花緒が抱きついてくる。







よろめきながらも、譲はそれを受け入れた。






殿内を斬ってからというもの島原の角屋にぱったりと足を途絶えさせていたのだ。






晴れて許可をもらったが、花緒には寂しい思いをさせたかもしれない。







「待たせたわね」






すると腕の中で、ふるふると花緒が首を振る。






「いいんです……それより」






ぱっと眩しいくらいの笑みで、花緒は譲を見上げた。






「今夜も、姐さんの胡弓の音色を聴こうと、お客さんが集まってます!早く、支度をしましょ?」






言われるがままに、花緒にそのまま自室に促される。







そんな花緒をみて、譲は思う。






(花緒には幸せになってもらいたい)







そんなことが、他人事のようにポツンと浮かんだ。