幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜













譲は、最後まで三人の会話を聞き遂げることなく、その場を切り上げた。








なるほど、立ち聞きをしておいて正解だった。










これで、目障りなやつを……、近藤さんに仇を成す者を消すことができる。










近藤さんの役に立ち、近藤さんの命を救うことができる。














譲は感情を殺した。













ただ彼女の胸の中に渦巻いていたのは、底が知れぬどこまでも黒く、冷たい感情だった。
















譲は控え部屋に戻ると、手短に花緒に告げる。









「花緒、私は少し所用があるから」









抑揚のない淡々とした声。








感情のない冷たい表情。







いつもの譲とは違う異変をすぐさま感じ取った花緒だったが、逆らうことができるはずもなく、ただ小さく、「はい」と返事をするだけだった。













そして譲は着替え終わり、刀を腰に差すと、虎視眈々と、どうあの者を殺るか、考えを巡らせていた。