(うん、いい感じね)
鍋をかき混ぜながら、譲は満足げに鼻を鳴らす。
釜戸(かまど)に目を配ると、よい感じに蓋がぐつぐつと音を立てて揺れており、白い湯気が出ていた。
炎を消して、ご飯はしばらく蒸らすことにし、譲はその間に次の作業にとりかかる。
団扇で七輪の上で焼いている魚を焼く。
しかもこの魚、いつもの安い目刺(めざし)ではない。昨夜、島原でおすそわけにといただいた鮎なのだ。昼まで鮮度がもたないので、朝食に出すことにした。今朝の朝餉は豪華だ。
あと、野菜のお浸し。
指をつけてみて、舐めてみる。
大丈夫だ。濃くも薄くもない。程よい感じに味が染みている。
全ての品が出来上がると、今度はせっせと盛り付けに入る。
器をご膳に置き、人数分あるか確認する。
(よし、今日も上出来だわ)
我ながらおいしくできたと思う。
譲はご膳を広間に運び始める。

