幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜





















「ん………」







瞼が重い。







総司は何度か瞬きして、ようやくまともに目を開くと、耳に障るいびき声が聞こえた。








顔を横に向けると、そこには三人がそれぞれ好き放題な体勢で眠っていた。









新八さんは徳利を両手に、「俺は……俺は……」と昨晩のことを引きずっているのか、寝言を言っている。








平助は、その隣でうつ伏せになりながら、何やらにやにやと口元を緩めていた。









「そうそう………そうやって女の格好しているほうが似合ってるぜ………」







一瞬で平助の夢の中の人物が誰なのか確定し、いかがわしい夢を見て嬉しそうに微笑む平助を鬱陶しく思った総司は、思いっきり平助を蹴りつける。









すさまじい一撃を食らった平助が、がばっと身を起こす。







「な……なんだよ!!」








蹴られたところを痛そうにさすりながら、平助が総司を睨む。









「あ、ごめんごめん。うっかり足が滑っちゃって」









笑っているようで笑っていない総司の顔に、疑惑を抱きつつも、平助はそれ以上何も首を突っ込まなかった。






そんな平助の悲鳴に起こされたのが約一名。







豪快に仰向けで寝ていた左乃さんが気だるそうに目をかきながら、言葉を紡ぐ。








「うっせえな、平助」







「お……俺かよ!?元はといえば総司が……!!」









「男は言い訳するもんじゃないと思うけどね、平助」








「うっせえ!!蹴った張本人が言うんじゃねえよ!」









と、朝から賑やかだった。









そして三人で新八さんを蹴起こそうとしたとき、いい匂いが三人の鼻を満たした。








「これは……」








総司が言いかけると、それに平助が続く。









「味噌汁の匂い………譲か!」









「だな。もう朝食の用意を始めてやがんのか。まったく、相変わらず真面目なやつだな」











「それじゃあ、幸せそうに眠る新八さんは放っておいて、いこうか」











総司の提案に二人とも乗ると、三人は平然と永倉を部屋に残して出て行った。